THE・GEESE尾関が深く語るブログ

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トコブシについて語る8

『・・・25611、25613!よし、今日の素数ここまで!!』久江は日課にしているその日の素数を言い終えると朝ごはんの支度を始めた。 由美子がいなくなって今日で3週間。一向に事態は進展していない。警察も打つ手がない状況のようだ。何しろ手掛かり一つなく急にいなくなってしまったのだ。サークルの会合途中で不意にいなくなり目撃者もいない。事件に巻き込まれた可能性もあり久江と夫は眠れない日々を過ごしていた。
あの日以来夫はノイローゼになり裏庭の大きな石をひっくり返しては由美子を探していた。
憎まれ口を叩くけど本当は心優しい由美子、熱い熱いお風呂が好きでやけどが絶えなかった由美子、起震車の運転手になるのが夢だった由美子、関西の女相場師と呼ばれた由美子ー由美子は久江の宝物だった。
その時ふと久江の頭にある考えが浮かんだ。もしかしたら、昔家族で出かけた千葉の鰯博物館にいるのかもしれないー。久江は、七面鳥にハーブを詰め込む手を止めると家を飛び出した。
続く

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トコブシについて語る7

 それは最初ただの切り株のように見えた。ギターにも見えたしカンガルーにも見えたし、脱穀機にも見えた。由美子は恐る恐るそれに近づいていった。近づくにつれてそれが切り株でないことを由美子は徐々に感じ初めていた。それは中年の男性だった。まるで手塚治虫のようだった。いや手塚治虫といっても過言ではなかった。手塚眞だった。 眞は由美子に気付くと自分の変な色の髪の毛を気にしながら歩み寄り、ど根性大根を作っているのだと笑顔で由美子に話て聞かせた。ど根性大根はアスファルトや環境的に大根が育たないところで育つからそう言われてるのであって、ここの普通の畑で育った大根は普通の大根でしかないですよ。
そういいかけて由美子は端から黙って全て大根を抜いて周った。
畑はよく耕されていた。よく耕やされた畑の土をみて由美子は海原雄山が良い土は良い味がするといって土を食べていたシーンを思い出すのだった。

トコブシについて語る6

声のする方向へしばらく走ると急に視界が開けた。
そこにはドライブインシアターが限りなく広がっていた。ドライブインシアター特有のなんとも言えない臭いが鼻をつく。スクリーンではアポロ13が聞こえるか聞こえないかの音量で流れていた。由美子は急に不安になりそれぞれの車に走り寄りこの音量で内容を把握できるのかひたすら聞いて回った。
『この音量で大丈夫なんですか?本当にわかってますか?』『なんだこいつ』『今はそんなことどうだっていいんです!音が!』『たかし、やばいよこいつ』『きちんと理解できないと!映画ってそういうもんでしょ?』『たかし無視しちゃいなよ。まじ危ない』『私の話を聞いて!!』 由美子はバンパーを力いっぱい蹴り上げ、エアバックを飛び出させると火のような勢いで再び森の中へ戻っていった。由美子は今までにない力が湧いてくるのを感じていた。由美子の中で何かが変わり始めている。スクリーンにうつるケビンベーコンは全く何を言ってるかわからなかったがのどのあたりの肌が綺麗だった。由美子は今までより少しケビンベーコンを好きになった。続く

トコブシについて語る5

『肩が抜けた?!』由美子は肩が抜けた感覚を覚え跳ね起きた。肩は抜けていなかった。仮に抜けていたとしても一人で肩をはめ込む技術を由美子は持っていた。由美子は残念そうに肩をすくめると再び西北西に向かって歩き出した。
森に入って今日で15日目。日にちを表す腕のナイフの傷は15本に達していた。とにかく人がいる場所へでなければ。 とその時だった。微かに遠くで人の声が聞こえたように由美子は感じた。由美子はライオンに似せた歩き方をやめ二足でその方向に走り出した。 由美子は久々に興奮していた。これで家に帰れる。家に帰ってしらすを食べれる。由美子は足の回転速度を上げた。
続く

2007年について語る

 しばらく更新を休んでいたのでここで区切りとして今年一年について語ってみようと思う。
「いいはなシーサー」。今年一年を振り返るとこの番組しか頭に残っていない。
いい話をビギンのボーカルのあの帽子の人が話すという単純明快な番組だ。
一番印象深いものにこんな話があった。


札幌でタクシー運転手をしている竹内紀仁さんは、この時期に
なると思い出すお客さんがいます。
それは2年前のクリスマス、雪で電車が運休となった夜、
札幌駅で乗せた一人の男性客のこと・・・。
「小樽まで行って下さい。でも、その前におもちゃ屋に寄りたい。」
出張で札幌まで来て、自宅へ帰る前に子供にクリスマス
プレゼントを買うのだろう・・・。
竹内さんは、そう思いました。
ところが、なかなかお目当てのおもちゃは見つからず、何件ものおもちゃ屋を巡りました。
やっとのことで見つけましたが、探し始めて1時間を越えていました。
車内に戻ったお客さんは、急いで携帯電話をかけはじめます。
「帰りが遅くなりそうなんだ。」
それを聞いて電話口で泣いている女の子の声・・・。
運転席にもはっきりと聞こえてきました。
と、次の瞬間、竹内さんを驚かせる出来事が。
「大丈夫、パパ今からサンタさんのソリに乗せてもらうから!大急ぎで帰るよ!!」
男性客はそう言うと、竹内さんに携帯電話を無言で差し出したのです。
竹内さんはとっさに携帯電話を受け取ると、
「メリークリスマス!パパを連れて行くから待ってるんだよ!ホーッホホッホー!!」
女の子の声が、少しだけ明るくなりました。
夜10時、無事小樽に到着。
敢えて自宅から少し離れたところに男性客を降ろしました。
「あの日、僕のタクシーはソリになったんだ・・・。」
車窓に写るクリスマスのイルミネーションが、竹内さんを一層優しい表情にさせるのでした。


 いい話だ。客からのとんでもない無茶振りに答えるタクシーの運転手。アドリブの笑いまで足すその精神。私なら、その無茶振りに憤り携帯電話を外に投げ、男性をタクシーから下ろし、何度も轢いたことだろう。
 いいはなシーサー 来年も目が話せない番組だ。そして「嫌なはなシーサー」「気分が滅入るはなシーサー」などその幅を広げてほしいものである。

 来年も皆様にとってよい年でありますように。

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