THE・GEESE尾関が深く語るブログ

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トコブシについて語る2

 気がつくと由美子は先ほどまでいた喫茶店へと戻り始めていた。あんなに「なじめない」、「おしゃべりがぞっとする」などと言っておきながら、やはり家に帰ってもする事が無かったという理由だけで戻ってしまう自分。そんな自分が由美子は好きだった。
 近くにあった放置禁止の紙がはってある誰の物か分からない自転車にまたがると喫茶店へと走り出した。
 春の風が由美子の頬をそっとなでて行った。由美子は手放し運転をすると目をつぶった。春の陽気に誘われてそうしたくなったからだ。 
 
 由美子が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。ベッドからおきあがると激しい痛みが全身を貫いた。
 「あなたは5日間も寝ていたのよ」
 隣のベッドにいた女性が由美子に話しかけてきた。
 「あなたは・・・?」
 「私は黒木メイサ」
 嘘だ。由美子は反射的にそう思った。黒木メイサがこんなところにいるわけが無い。それにその女性の枕もとには「馬場崎幸枝」とかかれたネームプレートもあった。女性はそんな由美子の表情を読み取るとこう言った。
 「ばれたらしょうがないわね。私は黒木メイサじゃないの。よろしく」
女性は握手をしようと骨折している右手のギプスを差し出した。が、すぐに自分の間違いに気付き照れたように慌ててその手を引っ込めた。
 「今のブログに書かなきゃ」そうつぶやくと馬場崎という女性はいびきをかき始めた。
 由美子はナースコールを押すとベッドの脇にある水差しに手を伸ばした。時計を見ると午前4時を回っていた。
 これからどうなってしまうのだろう。由美子は言いようの無い不安にかられたままナースが来る前に深い眠りに落ちていた。
 
 * このお話は今後も定期的に続けます。最後までお付き合いください。
 

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トコブシについて語る

「ごめん。私もう出るね」
財布からコーヒー一杯分の小銭を出しテーブルに置くと由美子は店を出た。
テーブルでは由美子の事などお構い無しに話が続いている。皆出て行ったことすら気付いていないのかもしれない。
平日と言う事も有り表の通りは人影がまばらだった。由美子は大きくのびを
すると駅へと歩き始めた。
由美子は歩きながら、あの女同士のどうでも良いおしゃべりがいつまで続くかと思うとぞっとした。

由美子が大学へ入学して2ヶ月が経とうとしている。両親の反対を押し切って
東京に出てきたものの由美子はこの新しい環境に慣れないでいた。
 東京に出て来れば新しい生活を始められるに違いない。今までの自分を
断ち切って違う自分に生まれ変わりたいそう願って始めた大学生活。
現実はそう甘くなかった。由美子の愚鈍なしゃべり方は周りをいらいらさせ
その他人の度肝を悪い意味で抜くファッションセンスはサークルでの由美子の位置を決定付けるものとなっていた。

 しかしそんな由美子に転機が訪れることになる。その日の帰りの事だった。

 第2部へ続く
 

捻挫について語る


 「捻挫(ねんざ)」はアフリカで人類がその一歩を踏み出した時から我々について廻る、誰も逃れる事のできない危険な事故である。ともすれば、人類は一歩目からねんざをした可能性も否定できない。人は「歩行」と言う機能を獲得したその時から「捻挫」という爆弾も抱えてしまったのだ。
 
 捻挫(ねんざ)ー。誰もがその不意に襲われる事故を体験した事があるだろう。段差に気付かなかった時、履きなれないハイヒールを履いた時、なんかよく分からないけど突然に、、、。あらゆる場所で足の「ぐねり」(ぐねっとなってしまうという捻挫特有の表現)を皆味わっている。特に何も無いところで足をぐねる行為ほど情けないものはない。
 この裂傷でも骨折でもなく、ただひねってしまうと言う地味な事故は人の自尊心を奪う。どんなに愛している人でも足をぐねる姿は恋をさめさせる力をもっているし、何も無いところでぐねる父親はその尊厳さえ失いかねない。そのダメージは捻挫の痛みなどより遥かに深いのだ。

 捻挫は時と場所を選ばない。全世界の人が捻挫いや、「NENZA」の被害者だ。ブッシュも、ゴアも、マイケルムーアやアグネスチャン、イヌイットもベルベル人もキリストや仏陀ですら「NENZA」の被害者なのだ。
 足をぐねってしまった指導者になんの説得力があるだろうか。人類最大の敵は「NENZA」なのかもしれない。

 現在世界は混沌を極めている。誰もが自分本意で物を考え、他人を省みようとはしない。
 こんな時こそ、皆が一つになって取り組むべきは「NENZA」なのかもしれない。そして「NENZA」によって世界が一つになればそのとき初めて人類は「NENZA」に打ち勝つ事ができたといえるのではないだろうか。

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